なぜ勉強するのか?(書籍から)

このページでは「なぜ勉強するのか?」について,書籍などをもとに考えを抜粋して掲載しています。(新しい順)

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書籍から抜粋

勉強とは「山道を登る」みたいなこと

まず,勉強を「する」「しない」は別として,そもそも勉強ってなんなのかをいっしょに考えてみよう。

勉強をするとね,目には見えないけれど自分が成長するんだ。勉強をする前のキミとあとのキミとでは,あとのキミのほうがちょっとだけ多く世の中のことを理解したことになる。キミにとっての世界が広がるってことだね。

山登りにたとえてみよう。山道を登っていくのはつらい。でも高く登れば登るほど遠くの景色まで見わたせるようになるでしょ。それがキミにとっての世界。つらいけれどももうちょっと登ってみると,その分だけ世界が広がる。遠くの方に川が見えたり海が見えたり山が見えたりする。でも全部は見えない。そうすると「その先はどうなっているのかな」と気になってしょうがない。しょうがないから,つらいけど,もう少し山を登ってみる。

そうやって見える世界を広げていくことは,まさしく自分自身が成長するということなんですよ。

遠くの世界をただながめるだけじゃなくて,身近な生活の中でもたくさんの発見ができるようになります。たとえば科学という学問を勉強するとおふろのお湯も,空から降ってくる雪も,自分の体を流れる血液に含まれる水分も,全部同じ\(H_2O\)という物質であることがわかる。キミが人の体に興味を持って,勉強して,子どもは夜ねている間に成長するということがわかれば,お父さんお母さんがいつも「早くねなさい」と言う意味もわかるでしょう。

毎日が発見の連続になるんです。やってみないとわからないことなんだけれど,それってとっても気持ちいいことなんですよ。この面白さを知れば勉強がつらいことではなくなります。

だからぜひみんなにも勉強という名の山登りをやってみてほしい。

この本から引用しています(P.110〜112)

「魔法」の力で未来を変えるため 瀧本哲史

みなさんは学校に通いながら、なにを学んでいるのでしょう?
なんのために、勉強をしているのでしょう?
いい高校、いい大学に進むため? そしていい会社に就職するため?
……そんなつまらないことのために勉強するなんて、あまりにも寂しい話ですよね。

正解はもっと別のところにあります。みなさんが学んでいるものの正体、それは「魔法」です。
ハリー・ポッターと同じ、「魔法」を学んでいるのです。
いま、みなさんは「魔法」の力で未来を変えるために、学校に通い、勉強をしています。(中略)
どんな大発見や大発明も、すべては学校で学ぶ知識をベースに成し遂げられてきました。国語、数学、理科、社会、そして英語。これらはすべて、みなさんがあたらしい未来をつくっていくための「魔法の基礎」なのです。
勉強の目的は、いい高校や大学に合格することでも、いい会社に就職することでもありません。もっと大きな、もっと輝かしい未来をつくるために、勉強しているのです。

学校は、未来と希望の工場である。そんなふうにいってもいいでしょう。

以下のページから抜粋

瀧本さんのこの本も参考になります。

自分の基準を持って,自分で判断するため 田中優子

「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」と言う疑問を、大人にぶつけてみようと思える時点で素晴らしい。 周りの大人の考えを受け入れたり、否定したりしながら、自分の基準を少しずつ作っていくことで、子どもはだんだんと大人になっていきます。だから、納得できないことがあったら何度でも大人に聞き直してほしい。問い詰める位の気持ちで良い。そこで、納得できるまで説明しようとしてくれて、それでもわからなければ一緒に調べたり、考えたりしてくれる大人は、きっと頭の良い大人です。

逆に、めんどくさがって、「そういうものなの!」とか「いいから従いなさい!」と言う大人は、あまり頭が良くないのかもしれません。そういう大人の言うことには、必ずしも従う必要はありません。自分はそういう大人にならないように気をつけましょう。そのためにはやっぱり勉強しなければなりません。

勉強をすればするほど、周りの大人が本当に正しいことを言っているのか、間違ったことを言ってるのか、自分で判断できるようになっていきます。周りの大人の意見だけでは心もとないと思った時に、自分で必要な本を探して読むこともできるようになります。
そうやって自分で自分の基準を作り、自分で選べるようになることこそが、大人になると言うことです。そしてそれこそが自由になると言うことです。

「もし大人から『いい学校に入りなさい』と言われたら、『いい学校ってなんですか?』と聞き返しなさい」と、子供たちは勧めたいと思います。もしかしたら「偏差値の高い学校がいい学校だ」と言う答えが返ってくるかもしれません。そしたら、「偏差値って何?」「偏差値の高い学校に行くとはどういういいことがあるの?」と、また聞けばいい。そういうやりとりをしているうちに、子どもの中に「いい学校の軸」ができてきます。

その軸は答えた大人の軸とは違うかもしれませんが、自分の軸に従って子ども自身がどこの学校に行くのかを判断すればいいのです。 自分の基準を持って、自分で選ぶと言うことこそが自由になると言うことです。それが大人になると言うことです。大人になるためには、自分の基準を自分の中に構築していかなければならないのです。

こちらの本から引用しています。

「大人になるため」ではなく「すてきな人」になるため あさのあつこ

広い意味での「勉強」を放棄してしまった人というのは、人としての魅力に欠けると思います。傲慢になるし、片意地になるし、人の話に耳を傾けることができなくなるし、自分に対する肯定感も持てなくなる。

魅力のない大人には誰も近寄って来れなくなってしまいます。お金があれば、調子がいいときには人が寄ってきてくれます。でもお金がなくなればみんないなくなります。それは単なる損得勘定でしか自分を見てもらえていないということです。魅力のない大人になると哀れです。

私にとって魅力的に見える人というのは、いつも勉強を忘れていない人です。自分が何も知らないと言う謙虚さを持っている人です。正直に自分の好奇心や知識欲を吐露していける、いい意味で「子どもみたい」と言われるような人が魅力的な人だと思います。やっぱり、勉強している人の事は「すてきだな」と感じます。

その意味で言えば、すてきな人になるために人は勉強し続けるべきなのだと思います。10歳でもすてきな人がいますよね。50歳でもがっかりな人はいます。いやむしろ、10歳よりも50歳の方ががっかりしてしまう人の割合が多い気がします。「この人と話をしていてもしょうがないな」みたいに感じることがときどきあるのです。勉強を放棄してしまった人が増えるからでしょう。要するに、勉強するのは「大人になるため」ではないのです。「すてきな人になるため」に勉強するのです。

こちらの本から引用しています。

<自由>になるため 苫野一徳

勉強するのは,端的にいうと<自由>になるためです。

ここでいう<自由>というのは、「生きたいように生きられる」ということです。もうちょっというと、できるだけ納得して、さらにできるなら満足して、生きたいように生きられているという実感のこと。これが<自由>という言葉の意味です。

<自由>というと、一切の束縛がない状態とか、なんでもやりたい放題のわがままな状態とかいったニュアンスもありますが、私がここでいう<自由>は、状態というよりは実感のことです。「生きたいように生きられている」と感じる、その実感のことです。(中略)

さて、重要なのはここからです。
だれもがみんな、<自由>に生きたいと思っている。
でも、<自由>に生きるためには、必ず何らかの「力」がいるのです。
例えば、読み書き算ができなかったとしたらどうでしょう?きっと、電車に乗ることも買い物をすることも困難でしょう。そればかりか、契約書が読めないばかりに誰かに騙されて、まるで奴隷みたいに働かされてしまうとううことだってあるかもしれません。

それはとても<不自由>なことです。
もちろん必要なのは、読み書き算などの基礎的な「力」だけではありません。スポーツ選手になりたいのであれば、そのための「力」がいるでしょう。学者になりたいのなら、膨大な「知識」がいるでしょう。世界で活躍するビジネスマンになりたいのなら、外国語力や世界についての「教養」がいるでしょう。
私たちは、<自由>に生きるために実に様々な「力」を必要としています。

だからこそ、私たちはこういうべきなのです。
私たちにとっての勉強する意味って一体なんだろう?

ーそれは最も根本的には、私を自由にしてくれる「力」を身につけることだーと。
このことを、皆さん自身を振り返ってぜひとも考えてみてください。
自由に生きるためには、そのための力がいる。その力をつけるために、私たちは勉強しているのです。

どうでしょうか?もし皆さんに納得していただけたら、私としてはとても嬉しく思います。

こちらの本から引用しています。

なぜ数学を勉強するのか

なぜ数学を勉強するのかということについては,
数学教育の名誉教授である杉山氏の考えをまとめたものを以下のページに作成しています。

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